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炭水化物だけを摂るという思い込み
みなさんご承知の通りだと思いますが、マラソン大会当日の朝食は、とても重要です。
マラソン大会のレースに向けた食事の話で、良く耳にするのがこんなフレーズ。
「数日前から、とにかく炭水化物だけ食べる。」
「肉や魚、野菜などは摂らない。」
「レース当日の朝食は、ごはんやパン、めん類のどれかを選ぶ。」
「ラーメン大盛りでガッツリとカーボ、イン。」
「ばっちり、カーボローディングしてきた。」
「糖質を充分補給するため、砂糖が多く含まれている大福やカステラを食べてきた。」
マラソン歴が長いランナーの方ほど、このようなことを実践していませんか?
レース数日前の食事から当日の朝食までは、ほとんど炭水化物だけを摂るべきだと思っているランナーの方がとても多いんです。
「お餅だけをたくさん食べてきた。」
「塩おにぎり4つ食べてきた。」
実際に、僕もマラソン大会に行くと、このような話を周りからたくさん聞きます。
しかし・・・
最新のスポーツ栄養学では、これらは今や古い理論となってきています。
糖質だけで効率的なエネルギー供給は出来ない
なぜなら、まず第一に。
糖質単体では、効率的なエネルギー供給ができません。
そうそう!その話に入る前に、糖質について誤解をしている方もいるかもしれないので、こちらの記事もぜひ合わせてご覧ください。
例えば白米などの炭水化物の糖質は、体内で分解されブドウ糖となります。
ブドウ糖は、英語でグルコースと言い、細胞のエネルギー源です。
しかし、糖質を摂りさえすれば、細胞にどんどん多くのエネルギーが供給されるといった単純なものではありません。
炭水化物と同時に必要な栄養素
それでは、効率的なエネルギー供給をするためには、炭水化物の他にどんな栄養素が必要なんでしょうか?
グルコース・トランスポーター
「グルコース・トランスポーター」。
グルコース・トランスポーターとは、細胞がグルコース(ブドウ糖)を取り込むために必要とする、たんぱく質のこと。
いくら糖質を摂取しても、グルコーストランスポーターがなければ、上手くブドウ糖を運べないので、細胞はエネルギー不足となります。
そのグルコース・トランスポーターを増やすためには、たんぱく質が必要です。
ですから、炭水化物とたんぱく質を一緒に摂る必要があるのです。
厳密には、お米などにも成分的に見ると、たんぱく質が含まれていますが、それでは全く足りません。。
ビタミンB1
もう一つ代表的なのが「ビタミンB1」。
ビタミンB1は、炭水化物(糖質)をエネルギーに変える時になくてはならない栄養素で、糖質の代謝を助けます。
ビタミンB1不足になると、糖質を効率的にエネルギーに変えることができないため、疲労感や倦怠感を招くことになります。これは普段の生活でもそうですが、スポーツ競技となると致命的です。
身近な食材では、豚肉はたんぱく質とビタミンB1が非常に多く含まれています。
メリットの少ないカーボローディング
次に、カーボローディングのお話です。
カーボローディングとは、走るためのエネルギー源となるグリコーゲン(ブドウ糖が結合したもの)を貯蔵庫である筋肉の中に最大限に蓄積するために行う食事法で、レース中のガス欠防止に有効とされてきました。
しかし近年では一転し、カーボローディングはレース前1週間で食事制限を行うために、体へ負担がかかるという点と、レース時に体重増となりやすくパフォーマンスが落ちるというデメリットの方が大きいとも言われています。
さらに、グリコーゲンの貯蔵量を増やしたとしても、そもそも人間の体にグリコーゲンはそれほど多く蓄えられないのです。
レースにおいては、エネルギーが切れる前に効率的なタイミングで補給する。
これが重要です。
エイドや補給食を持参して一定のタイミングでエネルギーチャージする。
フルマラソンやトレイルマラソンのように長時間エネルギーが必要となるレースの前だからと言って、炭水化物だけにしたり、炭水化物だけ異常に多く摂ったりはあまり意味がないのです。
栄養はそれぞれが作用しあって、効率的な働きをするものです。
大切なことは、炭水化物だけ、たんぱく質だけということでなく、様々な栄養素をバランスよく摂る事。
これに尽きます。
理想的な炭水化物の摂り方。
まとめ
それでは、まとめます。
「マラソン大会当日の朝食に炭水化物だけは正しくない?!」
その答えは、正しいとは言えない。です。
どうすれば良いのか?
それは。
マラソン大会当日の食事は、たんぱく質、脂質、野菜やフルーツからのビタミン類など、バランスの良い食事を心がけ、炭水化物を普段の食事より少し多めに摂る。
これです!(^^)